結婚式に大島紬を着られますか?

結婚式に大島紬ではおかしいですか?という質問がありました。

結論から言いますと、結婚式は着られませんが、披露宴なら着られる大島紬もあります。

身内として、結婚式に出るなら、黒留袖か色留袖ですね。

披露宴は、パーティーなので、セミフォーマルの着物で平気です。

それでは、セミフォーマルに着られる紬はあるのでしょうか?

セミフォーマルに着られる紬とは?

大島紬でセミフォーマルに着られる着物はありますよ。

昔から、「どんなに高い大島紬でも結婚式には着られない」と言われていました。

大島紬は、織りの着物ですから、織り=普段着というのが着物の常識です。

そして、織りの大島紬で訪問着を作るなんて可能ではあるが、

手間とコストが掛かるので誰もやらなかったのです。

藤都喜ェ門さんの大島紬

大島紬の色柄を変えた巨匠「藤都喜ヱ門大島紬」は白でも泥でも藍でもない色大島紬を作り、大島紬は地味、黒っぽい着物というイメージを一新しました。

さらに柄も絵画のような写実的な図案を作りました。

都喜ヱ門ブランドは大島紬では別格のブランド品として一世を風靡しました。

さらに究極の大島紬として都喜ェ門さんが、都喜ェ門美術大島というブランドで素晴らしい作品を作りました。

美術大島紬は、総絣の絵画のような大島紬や絵羽柄の訪問着もありましたが、今はほとんど目にすることはありません。

都喜ヱ門さんの白大島紬や色大島紬なら、パーティーなどには着ていけます。

結婚式や表彰式など格式が高い場所でも都喜ヱ門さんの絵羽の訪問着ならOKです。

大島紬の訪問着

後染めの大島紬訪問着

後染めと先染めがあります。今は、後染めがほとんどですね。

後染めは、大島紬の白生地に訪問着の柄を染めたものです。

大島紬は紬という名前ですが、今は紡ぎ糸ではなく生糸で織っているので、紬ではありません。

ですから、紬特有の節が無くツルツルしています。

染めてしまえば、誰も大島紬とは思いませんので、問題ありませんね。

ほとんど機械織りなので、少し生地が張っている感じがしますが軽くて着やすいです。

先染めの大島紬訪問着

柄が染めではなく、織りで作られた訪問着です。
分かる人には織りの柄と分かりますが、訪問着柄になっていれば問題ありません。

先染め大島紬訪問着の現状

先染めの訪問着も数の新しい商品は見かけないですが、リサイクル着物ならあります。

バブルの頃は結構ありましたね。

都喜エ門さん、惠積五郎さん、たかし織物さんなどが作っていました。

今は皆さん、廃業、もしくは縮小したので作られていないと思います。

先染めの訪問着は、手間とコストが掛かるので、同じ柄を何百枚も作らないとなりません。

しかも、その何百枚のほとんどがすぐに売れないとコストの回収ができません。

ですから、大きな会社とタイアップして、双方でリスクを掛けてやらなければ、出来ない商品です。

今、それだけ元気のある会社はないですね。

都喜エ門さんだけはどこの会社ともタイアップしないで美術大島として独自に作っていましたが、

本人が亡くなった後は作られていませんね。

今後、新たな先染めの大島紬訪問着は、見ることが出来ないかもしれません。

 

旗印の証紙と名匠たかしの折込があります。

一方付け付下げ大島紬

総柄の織りの大島ですが、柄が全て上向きになっています。

惠織物で作られていましたね。

柄も横総絣という技法で製作していたので、まるで書いたような柄でした。

柄は風景など上向きが分かる柄なので、パーティーなら問題ないですね。

商品のご紹介

こちらも名匠たかしの一方付け総柄の大島紬です。

こんな大島紬は二度と出来ないですね。

図案を書いた作家が日本画の熱田紫曠(あつたしこう)氏は昔お店にお呼びして販売会をしました。

お買い上げのお客様に墨絵の色紙をプレゼントしたり、帯に墨絵で柄を足したりしましたね。

本当に実力のある先生でした。

 

大島紬の色無地、臈纈(ろうけつ)小紋、江戸小紋

大島紬やその他の紬でも、色無地があります。

色無地なら、帯次第で披露宴なら平気ですね。紋はなくても問題ありません。

色無地に似た着物で、臈纈染があります。

たたき染めと呼ばれている染め方です。

江戸小紋のうち、定め柄、三役五役も色無地と同格で着られる着物です。

大島紬はもちろんですが、他の紬でも色無地の系統であれば披露宴に着られます。

ただし、帯は織りの袋帯で礼装に向く柄を締めてくださいね。

一般的な織りの大島紬

藍染、泥染は、ダメですね。

普段着感が強いですからね。

白大島なら、セミフォーマルに会う帯を締めればパーティーなら着られますよ。

都喜エ門さんの縦横絣の白大島なら、レストランウェディングなどには着て行けますね。

都喜エ門さんの縦横絣の大島紬は作られていないので貴重品ですよ。

 

染め大島紬の小紋

大島紬という事は別として、結婚式に着られるような小紋なら問題ないですね。

ほとんどの人は、大島紬と思わないので、披露宴に着る着物の柄としてどうか?という事を重視してください。

大島紬を結婚式に着られるかどうか、という事は、大島紬の問題とともに、結婚式の格も影響します。

レストランウエディングで、平服で、という披露宴なら、どんな大島紬でも問題ないでしょうが、

お祝いの席なので、華やかさがある白大島や明るい色の染め大島紬をお勧めしますね。

有名結婚式会場やホテルでの披露宴なら、織りの大島紬は、避けて染め大島紬の無地系か訪問着にしてください。

招待してくれた新郎新婦が驚いたり、恥をかいたりしないような装いにしましょうね。

最後に

30年位前に、紬の訪問着は牛首紬が大ヒット商品になり、高額な紬の訪問着がどんどん作られました。

その後、牛首紬の廉価版のような紬の後染め訪問着がたくさん出てきましたね。

亰友禅や加賀友禅の作家も、大島紬や白山紬の白生地を使って訪問着や小紋を作っています。

売れる商品=消費者のニーズ・ウォンツという事で、メーカーや作家が群がるように作りますね。

最近は、以前より減ったと思いますが、リサイクルの紬の訪問着はお手頃価格で人気がありますね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

貴女の着物ライフがますます楽しくなるように応援します。

それではまたお会いしましょうね

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