藍染の魅力と効用


出展:本藍染 雅織工房

 

なぜ本藍染め(天然灰汁発酵建て)なのか?

  • 本藍染めでしか出せない藍染めの色の魅力
  • 本藍染めの染料としての能力の高さと素晴らしさ
  • 世界で唯一残っている伝統的な技法

年々すくもの生産量が減少している原因は、本藍染めの売上減少が大きいですね。
特にバブル以降、藍染着物の販売数が大きく減少している事が要因です。
藍染め商品の需要が多くなれば、すくもの生産量も増え安定した産業になります。
この素晴らしい染料、染色方法が後世まで受け継がれるようにしたいです。
そうなるように藍染めの商品がもっと売れるように力を注いでいきたいです。

本藍染の色の魅力

灰汁発酵建ての本藍染は、江戸時代と同じ方法で建てた藍を使用し、
当時と同じ手法で染めていきます。

細心の注意と最高の技術と時間をかけて、根気よく染めていきます。

本藍染めは、化学染料のようにすぐに藍色に染まるのではなく、
染めた直後は緑がかった色で空気の中の酸素に反応(酸化)して色が変化します。

濃藍色に染める場合は、30回以上藍が入った釜に入れて染めては、空気に触れされる作業を繰り返します。

微生物の力も借りながら、糸の芯まで藍色に染めていくのが、本藍染めの技法です。

その結果、藍の色素と不純物が混ざり、なんとも言えない色を生み出しますね。

本藍染で染めた商品は、洗えば洗うほど不純物が洗い流され、きれいな藍色になります。

しかも、芯まで染まっているため、藍色が色落ちして薄くなることはないです。

本藍染めは、染めてすぐは、赤みがかった藍色ですが、
時間とともに赤みがなくなりきれいな青色に変化します。

その藍色の変化を「藍染めは生きている」と言っています。

藍の染料としての魅力

堅牢度の高さ

藍は、糸や生地の表面に付着しているので、生地自体も丈夫になり堅牢度も高く、
きちんと保管しておけば何百年経っても色が褪せたりさめることはありません。
ですから、江戸時代の藍染の着物は、今でも色褪せること無く、
最近作った着物のように色鮮やかです。

糸、生地の強度が増す唯一の染料

普通の染では、生地が10%くらい弱くなるそうです。
しかし、本藍で染めた生地や糸は20%くらい強くなります。
ですから、藍は通常の染よりも生地、糸が30%強くなるということです。
そんな染料は藍しかありません。

世界最古の藍染めの布は、約4,000年前エジプトにミイラに
藍染めの麻布が使われており現存しています。

色移りしない本藍染め

本藍は付着染料なので、洗濯しても色落ちはほとんど無く、
もし、多少色落ちしたとしても、他の物に色移りすることはありません。
化学染料の藍や天然染料と化学染料を混ぜた割り建ては、
色が落ちると他の物に色移りし洗っても落ちません。
灰汁発酵建ての本藍のみ色移りしないのです。

洗うと、最初は藍染めのアクが抜けるので、茶色い色の液が出ることもありますが、
すぐにアクが抜けるのは収まり、きれいな藍色になります。

他の染料にない藍の特徴

天然素材の綿や絹と相性がよく、特に綿は綺麗に芯まで染まりますが、
化学繊維100%の物には染まりません。

本藍染めは、自然の材料だけしか使わないので、染めた後の廃液を畑の肥料として土に戻したり、
水洗いの後の水を畑の灌漑に再利用することも可能です。

一切無駄になるものがない究極のエコ染料です。

藍は世界最古の染料

染料としては、世界最古であり、濃青色に染まる唯一の天然染料である。
日本には、シルクロードによって、飛鳥時代には藍染は存在していたと言われています。
平安時代には、京都で蓼藍が栽培されていたようです。
鎌倉時代には、武士が一番濃い藍色、褐色(かちいろ)を勝色(かちいろ)と呼び、
鎧の下の着物を濃藍色に染めたそうです。
藍の染料は、戦国時代の武士にとっては、
縁起かつぎとともに殺菌、抗菌、保温、虫除けなどの効果があり、
無くてはならない物だったと思われます。
その後、室町時代、江戸時代と藍染は日本の色になりました。
明治時代ラフカディオ・ハーンが来日した時に、
家の暖簾から衣装まで全て藍色に染まってるのを見て
日本の藍は、「ジャパンブルー」というように呼ばれるようになりました。

ヨーロッパでも18世紀まではウォードという植物から、本藍染めと同じような方法で藍染をしていましたが、
インド藍が輸入されて、ウォードの染色方法は殆どなくなってしまいました。

日本でも、第2次世界大戦の時に、食料の栽培を優先するために、
藍の栽培が禁止され無くなりかけました。
藍は一年草なので、一回絶やすともう栽培できないのです。

その時に、徳島の佐藤平助氏が隠れて藍を栽培し絶やさなかったので、今も蓼藍が栽培できるのです。
もし、見つかったら死刑は免れないと思われるので、まさしく命をかけて藍を守ったのです。

その藍も、年々農家が減り、生産量が減っています。
理由は、着物などの藍染商品が売れず、藍の原料になるスクモも売れないからです。

せっかく佐藤平助氏が命をかけて守った藍です。絶やすわけにはいきませんね。

本藍染めの効果・効用

  • 藍染めで染めた布は、夏は涼しく、冬は温かい。
  • 藍染めで染めた布は、抗菌効果、抗酸化作用がある。あせも、かぶれ、水虫に効果あり。汗臭さも抑える。
  • 藍染めで染めた布は、丈夫になる。藍染めが付着染料のため生地を保護する。
  • 藍染めで染めた布は、虫除け、マムシ除けになる。藍染めの着物をタンスに入れておくと虫がつかない。
  • 藍染めで染めた布は、UVカット効果がある。藍染で染めた日傘はUVカットし、涼しい。
  • 藍染めで染めた布は、洗濯しても色落ちはほとんど無く、たとえ色落ちしたとしても色移りしない。
    (藍は、水に溶けない。付着染料なので、生地に浸透しない)

ただし、以上のような効果は、灰汁発酵建ての本藍染めだけです。

本藍染めは、天然染料では珍しく綿との相性も良く、綿が綺麗な藍色に染まります。
そして、藍染が付着することによって生地自体も丈夫になり、
さらに、殺菌の効果、防火の効果もあります。
このような理由により、戦国時代には武士の鎧の下の着物に使われていました。
また、江戸時代には火消しの作業着にも使われたのです。

蓼藍自体は漢方薬であり、ふぐの解毒剤に使われていました。
近年ではエイズにも効果があると研究されています。

このような素晴らしい染料が灰汁発酵建ての藍染めです。

先染めの藍染花織です。おそらく、雅織工房の商品です。素晴らしいですよ。

通常価格は100万以上間違いないですよ。

 

先染の灰汁発酵建て藍染は雅織工房の中西さんの作品だと思います。100万以上ですね。非常に良い商品です。

次回は、本藍染めと化学染料の藍染の違いや藍染の商品、職人さんについてお話しますね。

 

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